探究学習普及プロジェクト(経産省「未来の教室」事業)
2018年度 経産省「未来の教室」事業に採択
クライアント
経済産業省
カテゴリ
調査研究・実証事業
担当スタッフ
岩田拓真
上田尚史
大軒恵美子
「探究学習」を日本に根付かせるには?
探究学習への保護者の方のニーズや社会的要請は高まるなか、子どもたちが洗練された探究学習プログラムを身近に受けられる場や機会はまだまだ多いとは言えない現状です。そこには、プログラム開発や講師育成の面、時間割やカリキュラムの面、ビジネスモデルや予算の面、等様々な課題があると考えられます。
経済産業省は2018年度から、「未来の教室」の姿を具現化するための実証事業を開始し、エイスクールも実証事業者として採択されました。本実証事業では、全国各地の様々な学びの場における探究学習へのニーズと課題を明らかにし、探究学習の普及を後押しすることを目指し、教員や教育事業者へのヒアリング、プログラムの試験導入、先進的な実践者や専門家から学ぶ研修会を実施しました。成果報告については、こちらをご覧ください。
公教育では、行政や組織の課題が普及の妨げに
公教育における探究学習の実践状況や課題・ニーズについては、本実証事業を通じて、以下の7点が明らかになった。特に、「②学校の文化」「③教員の働き方」「⑦リーダーシップ」の課題が普及の妨げになっている。
- ①そもそも探究学習についてよく知らない教員が多いが、関心は徐々に高まってきている
- ②授業の中で探究的な学びの工夫をしている教員もいるが、校内に文化はできにくい現状
- ③探究的な授業設計に割ける時間的・精神的な余裕が教員にないのも課題
- ④民間の探究学習コンテンツの公教育導入の可能性もあるが、課金モデルが課題
- ⑤探究的・実践的な教員研修によって「探究ファシリテーター」の育成は可能
- ⑥既存の学習指導要領の中でも「探究の時間」を作り、学校として認可されることは可能
- ⑦現場での推進に加え、校長や教育長・首長のリーダーシップや協働が重要
民間での実践が先行。しかし、所得や地域による格差も
民間教育における探究学習の実践状況や課題・ニーズについては、本実証事業を通じて、以下の5点が明らかになった。公教育よりも探究学習の実践事例は多い一方、所得や地域によって大きく状況が異なるのが現状の課題である。
- ①探究学習市場創出という観点では、エンタメ&ICTの力を活用したプレイヤーが躍進
- ②高所得層が多いエリアでは民間学童や私立保育園等で探究学習へのニーズが強い
- ③地方都市や田舎でも探究学習へのニーズは生まれているが、都市部とはギャップあり
- ④独自の探究学習を進めるユニークな小規模プレイヤーも全国に少しずつ増加傾向
- ⑤博物館・商業施設・宿泊施設・自然環境等を活用した探究学習の事例も